ごあいさつ

タバコを吸いながらウインクする黒衣のジョニー・キャッシュ
Photograph by Don Hunstein

はじめまして、Carrot (キャロット)と申します。

当ブログは、ジョニー・キャッシュという複雑な魅力を持つキャラクターと曲世界にどっぷりハマってしまったブログ主が、思いの丈をぶつけるチラシの裏です。

曲の感想やWikipediaなどから拾ってきたウンチクに、オンライン辞書と首っ引きで訳した和訳を添えています。英語がよくわからない人間が訳しているので、誤訳や誤字も多々あるかと思います。発見した方は、腹を抱えて笑ってやってください。英語の歌詞は掲載しておりません。お好みの歌詞掲載サイトでご覧いただければと思います。

ジョニー・キャッシュの曲紹介や和訳の他にも、好きな音楽や本、手芸や料理、日常の出来事や昔話など、気の向くままに書き散らします。ストーンズやルー・リード、トム・ウェイツ、ポーグズなど、音楽の趣味の合う方には興味を持っていただける記事があるかもしれません。

ちなみに、ブログタイトルのCash Carrotは、ニンジン作戦という意味です。馬の鼻面にニンジンぶら下げて走らせるのと同じく、人の目先に札束チラつかせて仕事をさせるやり方ですね。

……なんて知ったかぶりして書いてますが、深い考えがあってつけたタイトルではありません。ブログを始めるにあたり、敬愛するジョニー・キャッシュ御大にちなんだ適当な言葉がないかと探して見つけたフレーズです。語呂がいいし、Carrotはそのままハンドルネームにできるし、札束もニンジンも嫌いじゃない。むしろ大好き!

てなわけで、Cash Carrotをよろしくお願いいたします。


※当ブログに掲載している訳詞は、個人的な楽しみのための引用であり、商用利用や配布を目的としたものではありません。また、歌詞の和訳には誤訳・誤字が存在する場合があります。営利目的の転載および複製はご遠慮ください。個人的な楽しみの範囲であれば、ご自由に利用くださって構いません。その際は当ブログへのリンク及び引用元の表記をお願いいたします。


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One Piece at A Time / Johnny Cash 訳詞・和訳

車にタイヤを組み付ける作業員
ジョニー・キャッシュの訳詞・和訳、第1弾は One Piece at A Timeです 。


“何年型かだって? こいつは49~70年型のキャデラックさ”


One Piece at A Time
ワン・ピース・アット・ア・タイム


さて 俺は1949年にケンタッキーを離れ
デトロイトの製造工場へ働きに出た
1年目 俺の仕事はキャデラックのホイールの組み付けだった
俺は毎日 イカした車が製造ラインを流れていくのを眺めたもんだ
そして時々 頭を垂れて涙にくれた
あの長くて黒い車を俺のものにできたらと思い続けて

ある日 俺は計画を思いついた
それは誰もがうらやむような妙案だ
弁当箱の中にあいつを入れて こっそり持ち出せばいい
まあ 見つかりゃクビだが
定年までには目的達成できるだろうと算段をつけた
俺は少なく見積もっても10万ドルの車をモノにするんだ

(Chorus)
一度に一かけらずつ手に入れる
10セントの金もかからない
おまえの町にもひょっこり現れるかも
流行りのスタイルで乗り回して
みんなを熱狂させてやる
なんせ この界隈じゃたった一台の車だからな


次の日さっそく俺は出勤した
でっかい弁当箱を持って 仲間も協力してくれた
その日は弁当箱にギアをぎっしり詰めて家に帰った
自分のことを盗っ人だなんて考えたことはないが
ゼネラルモーターズは絶対に見逃しちゃくれねえだろうな
特に何年にもわたって こんなことを続けてたら

1日目は燃料ポンプ
次の日はエンジンとトランク
それからトランスミッションとメッキ塗装した部品
でかい弁当いっぱいに詰め込んだ小さなパーツは
ナットやボルト、タイヤ4つ分のショックアブソーバーなんかで
大物は仲間のキャンピングカーに隠して運び出した


そうだな これまでのところ計画は順調だった
ある夜 俺たちが揃えた部品を組み立てようとするまでは
そして何かが決定的に間違ってることに気づいたんだ
トランスミッションは53年物で
モーターは73年物ときた
ボルトを締めようとしても ホールが全然合ってない

俺たちはボルトホールを合わせようと ドリルで穴をあけた
アダプターキットの助けをほんの少し借りたら
エンジンが歌うように回転し始めた
さあ お次の問題はヘッドライトだ
左に2つ 右に一つついている
スイッチを入れたら なんと3つとも点灯しやがった


後ろ部分の見てくれもメチャクチャだが
俺たちはパーツを全部使って一つにまとめあげた
テールフィンが片側しかないことに気づいた瞬間
女房が急にその場から歩き出した
彼女の目には疑いの色が見えた
だが 彼女は車のドアを開けて言った
「あなた、ひとっ走りしましょうよ」

そして俺たちは街にドライブに行き 違反切符を切られまくった
大通りに向かって車を走らせると
街中のみんなが大笑いしてるのが聞こえた
だけど裁判所のやつらは誰も笑ってなかった
職員総出で訴状をタイピングしていたからな
やつらが完成させた訴状の重さは30kg近くもあったぜ

(Chorus)
一度に一かけらずつ手に入れる
10セントの金もかからない
おまえの町にもひょっこり現れるかも
流行りのスタイルで乗り回して
みんなを熱狂させてやる
なんせ この界隈じゃたった一台の車なんだ

(CB無線によるトラック運転手との会話)
やあ レッドライダー
こちらはコットンマウス
サイコビリー・キャデラックに乗ってるぜ どうぞ!

了解 レッドライダー こちらコットンマウス
この芝刈り機みてえな車がいくらだったかは教えられねえな
おまえさんは俺が車屋へ行って
こいつをその場で選んだと言いたいんだろうが
そんなケチくさいもんじゃねえ
何だって? 何年型かだって?

そうだな、こいつは49年、50年、51年、52年、
53年、54年、55年、56年、57年、58年、59年型の車さ
そして60年、61年、62年、63年、64年、65年、
66年、67年、68年、69年、70年型の車なんだ



One Piece at A Timeは、1976年にレコーディングされ、全米シングルチャートのカントリー部門で1位に輝いた大ヒット曲です。「Honky Tonk Wine」等で有名なウェイン・ケンプというシンガーソングライターが、ジョニー・キャッシュのために作詞・作曲しています。

ジョニー・キャッシュの曲には、軽快なメロディに乗せて面白おかしいストーリーを語っていくギター漫談のようなナンバーがいくつもありますが、これもその一つです。

一度に一かけらずつ部品を盗み出して、長年かけて憧れのキャデラックを一台組み立てようとした主人公。年式によって部品が違うことを計算に入れておらず、できあがった車はヘッドライトが3つにテールフィンが1つ、芝刈り機のような見た目のモンスターカーになってしまったという顛末でした。

定年までにという算段どおり、この車、完成するのに20年以上かかったんですね。
エンディングの年式の羅列で、いつも噴き出してしまいます。

Wikipediaによると、この通称「'49–'70型キャデラック」は、テネシー州ナッシュビルで自動車解体・中古パーツショップを経営するブルース・フィッツパトリック氏によって実際に作られたそうです。その怪物じみた外観は、Wikipediaの写真や上記のyoutube動画でご堪能ください。黒いシャツで運転席にいるのがジョニー・キャッシュ、オーバーオール姿で立っているのが車を製作したフィッツパトリック氏です。

One Piece at A Timeの発売当時、フィッツパトリック氏のショップには、曲中に出てくるすべてのモデルのキャデラックの在庫がありました。プロモーターから注文を受けた彼が、ジョニー・キャッシュに「'49–'70型キャデラック」を納車したのは、1976年4月のことでした。このユニークな車は、テネシー州ヘンダーソンビルのジョニー・キャッシュ邸の外にずっと展示してあったそうです。

ジョニー・キャッシュの死とともにミュージアム化されていた自宅は、ほどなく閉鎖の憂き目に遭います。フィッツパトリック氏は「'49–'70型キャデラック」を30km離れたナッシュビルまでレッカーして帰り、自分のショップで廃車にしました。受注、製造、納車、メンテナンス、廃車時の引き取りから処分まで、こんなトータルサービスの車屋さんって聞いたことがありません。解体業が本職とはいえ、この車をスクラップするときには様々な思いが胸をよぎったでしょうね。


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関西人のソウルフード 粕汁

塩鮭と揚げとネギの粕汁
暑さ負けで食欲が落ちたと友人に話したら、「夏バテには粕汁がいい」と母上直伝のレシピを教えてくれました。

友人の母上は大阪出身で、粕汁は関西の郷土料理のようなものだそうです。
冬の食べ物というイメージがありましたが、栄養価が高くて胃に優しい粕汁は、夏バテ対策にもなるんですね。

友人おすすめの具材は、塩鮭、ちくわ、ゴボウ、大根、ニンジン、サツマイモ。

だし汁で具材を煮て、水でふやかした酒粕(1人50gが目安)を加え、アルコールを煮飛ばし、味噌をお好みの量入れて味を調えます。鮭の塩味を計算に入れて、味噌は気持ち控えめにすると美味です。

今回はちくわとゴボウなしで、サツマイモのかわりにジャガイモ、カボチャ・インゲン・小松菜・お揚げ・蒟蒻を入れました。具材をゴロゴロと大きめに切って、ホワイトシチュー風。胡椒をふってもイケるそうです。

暑さに疲れた胃に優しい味が染みわたり、クーラーで冷えた手足がポカポカ温まりました。

レシピをくれた友人は高校時代のバンド仲間です。すらりと色白で近寄りがたいほどの美貌と、のんびりした口調で繰り出すユーモアあふれる発言のギャップが魅力的なベーシスト。最近、娘さんがバンドを組んでギターを始めたそうで、時の流れに感慨深いものがあります。


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I Drove Her Out of My Mind / Johnny Cash 訳詞・和訳

キャデラックと美女
Johnny Cashの訳詞・和訳シリーズ第2弾、 I Drove Her Out of My Mindです。


“ねえ、このキャデラックで飛ぶつもり?”


I Drove Her Out of My Mind
アイ・ドローヴ・ハー・アウト・オブ・マイ・マインド


彼女は俺に三行半をつきつけて 新しい男と逃げやがった
俺の稼ぎじゃ とうてい買えないものをプレゼントしてもらったんだとさ
それから俺は 気分を上げる薬や落ち着かせる薬
あらゆるものに頼ってみたが
いまだに彼女とのイイ思い出が頭から離れない

そこで俺は今日 彼女がずっと欲しがってたキャデラックを買った
彼女に電話して 乗ってみたくねえかって聞いたんだ
これが最後のデートよって言うから わかってるぜと答えた
今夜 俺の頭の中から彼女を追い出すために

(Chorus)
ドライブに連れ出したら ルックアウトマウンテンまでひとっ走り
俺の女だった頃は どこにも連れてかないと文句を言ってたからな
彼女は7つの州を一望できるはず
俺たちが天国の門までドライブする間に
今夜 やっと俺の頭の中から彼女を追い出せるんだ


新聞はこぞって書き立てるだろう
「また恋人たちがルックアウトマウンテンから身投げした」と
これは心中だっていう走り書きを残してきたからな
だが 俺の墓にはこう刻まれるはずだ
「彼は昨日みずからの苦痛にとどめを刺し
ついにあの女を頭の中から追い出した」と

さあ 彼女が愛想を振りまきながらやってきたぜ
男殺しのドレスだな まあ俺も女殺しなわけだが
願わくば彼女に聞いてほしいもんだ
「ねえ、このキャデラックで飛ぶつもり?」と
そしたら 俺は笑いながら死ねるだろう
「そのとおり」って答えながら
まさにその瞬間 俺の頭の中から彼女を追い出せるんだ

(Chorus)
ドライブに連れ出したら ルックアウトマウンテンまでひとっ走り
俺の女だった頃は どこにも連れてかないと文句を言ってたからな
彼女は7つの州を一望できるはず
俺たちが天国の門までドライブする間に
今夜 やっと俺の頭の中から彼女を追い出せるんだ


噂になるだろう ジョニー・キャッシュは木っ端みじんになったと
チャタヌーガのこの場所で
昨夜 ついに奴は頭の中から彼女を追い出したと

あのキャデラックのディーラーもびっくり仰天だろうぜ
頭金99ドルで 月額99ドルのローン
ハハハ まったく傑作な話だ

天国の門に向かって
天国の門に向かって
天国の門に向かって…



ジョニー・キャッシュの曲の中では、かなりマイナーと思われるこの作品。彼の没後11年目、2014年に発売された未発表音源集のOut Among the Starsに収められています。1980年代前半のレコーディングセッションをもとに、2013年にレコーディングされました。作詞・作曲は、Gary Lee GentryとHillman Hallです。

私がジョニー・キャッシュの歌詞に興味を持ったきっかけが、このナンバーでした。

ネットラジオから流れてきた明るく爽快感あふれるメロディに、「この曲、いいじゃん」とノリノリで拍子を取っていたCarrot。英語がよくわからないので、Cadillac(キャデラック)とか聞こえるから、楽しいドライブの曲なんだろうと勝手に思っていました。

ところが曲が進むにつれて耳に入ってくる、suicide(自殺)、kill(殺す)、pain(苦痛)等々、むちゃくちゃ殺伐とした単語の数々。極めつけがエンディングの脳天気な女性コーラスです。pearly gatesって、天国の門じゃなかった!?

いったい何を歌ってるのかと歌詞を検索して、その内容にあっけにとられると同時に爆笑しました。皆さんも当時の私のようにびっくり仰天しましたか? そして、一途すぎた男の夢見るハッピーエンドに一抹の切なさを感じていただけたでしょうか。

訳していて一番おかしかったのが、“Dressed to kill and so am I” のくだりです。「Dressed To Kill」(殺しのドレス)というブライアン・デ・パルマ監督の映画がありますが、これは異性の気を引くための露出度の高い悩殺ファッションのことですね。それに対して、“so am I”(俺もだよ)と答えるジョニー・キャッシュのバリトンボイス。やめて!あんたのkillは比喩じゃなくてマジだから!と突っ込まざるを得ません。

ちなみに、この無理心中男がドライブの目的地にしているルックアウトマウンテンの崖は、こんなところです。
ごつごつとした岩肌がむき出しの断崖絶壁から、ビアジョッキのような形の巨大な岩の塊がせり出している。その下方から遙か遠くを見渡すように、緑の山並みや町並みが広がっている
ルックアウトマウンテンは、テネシー州のチャタヌーガにあり、7つの州(テネシー、ケンタッキー、バージニア、サウスカロライナ、ノースカリフォルニア、ジョージア、アラバマ)を見渡せる絶景の観光ポイント。この一帯はネイティブアメリカンの居住地で、チャタヌーガという地名は、チェロキー族の言葉で「岩が迫り来る場所」という意味だそうです。

上の画像の断崖絶壁は、チェロキー族の心中伝説が残る、ラバーズ・リープという崖です。主人公の言動から見るに、現代においても身投げの名所になっているみたいですね。

こっぴどくふった相手がピカピカの新車でドライブに誘ってきたら、「じゃあ最後に一回だけ」とか言ってないで、全力で逃げましょう。でなけりゃ、ここから天国の門めがけて飛ぶことになります。

それにしても、頭金99ドルしか支払ってもらっていないキャデラックのディーラーさん。新聞を見て真っ青になってる顔が目に浮かびます。気の毒すぎる。


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Sunday Mornin' Comin' Down / Johnny Cash 訳詞・和訳

色あせた都会の歩道
訳詞・和訳シリーズ第3弾、ジョニー・キャッシュSunday Mornin' Comin' Down です。


“日曜の中にある何かが 人を孤独にさせるんだ”


Sunday Mornin' Comin' Down
サンデー・モーニング・カミング・ダウン


目が覚めたら日曜の朝だった
どんな姿勢をとっても頭が痛む
朝食がわりに飲んだビールは悪くなかった
だからデザートにもう一本飲んだ
それからタンスを引っかき回して
汚れたシャツの中で一番ましなのを見つけた
顔を洗い 髪をとかして
よろめきながら階段を降りる一日の始まり

ゆうべ俺の頭の中は
タバコの煙とお気に入りの歌でいっぱいだった
きょう一本目に火をつけたら 子どもが目に入った
缶けりをして遊んでいる
通りを歩いて横切ろうとしたとき
日曜の匂いが漂ってきた 誰かがチキンを揚げている
神様 その香りが思い出させるんだ 俺が失った何かを
今までのどこかで どういうわけか なくしてしまったものを

(Chorus)
日曜の朝の歩道にいると
神様 俺はマリファナでもやっていれば良かったと思う
日曜の中にある何かが 人を孤独にさせるんだ
今まさに死んでいくような気分
死ぬときだって寂しさは半分ぐらいだろう
眠たげな街の歩道から聞こえる物音に比べたら
そして 日曜の朝に沈んでいく


公園でひとりの父親を見かけた
彼がブランコを押してやって 小さな女の子が笑っていた
教会の日曜学校のそばで足を止めて
彼らのうたう賛美歌を聞いた
それから俺は通りを歩いていった
どこか遠くで 寂しげな音色の鐘が鳴っている
それはビルの谷間に響き渡る
まるで薄れゆく昨日の夢のように

(Chorus)
日曜の朝の歩道にいると
神様 俺はマリファナでもやっていれば良かったと思う
日曜の中にある何かが 人を孤独にさせるんだ
今まさに死んでいくような気分
死ぬときだって寂しさは半分ぐらいだろう
眠たげな街の歩道から聞こえる物音に比べたら
そして 日曜の朝に沈んでいく



私がこの曲を初めて聴いたのは、子どもの頃、刑事コロンボシリーズの「白鳥の歌」の中でした。ジョニー・キャッシュがカントリー歌手の殺人犯を演じた、このテレビ映画については、また別記事でご紹介したいと思います。

Sunday Mornin' Comin' Downは、カントリー歌手のクリス・クリストファーソンによって作詞・作曲されました。1969年にレイ・スティーブンス版、1970年にジョニー・キャッシュ版が発売され、ジョニー・キャッシュのバージョンは、全米シングルチャートのカントリー部門で1位になっています。ジャニス・ジョプリンのヒット曲「Me and Bobby McGee」を書いたことでも知られるクリス・クリストファーソンは、ジョニー・キャッシュが持っていたヘリコプターの操縦者として彼と知合い、デモテープを渡したことが、シンガーソングライターとしてブレイクする切っ掛けとなったそうです。

英語版Wikipediaの Sunday Mornin' Comin' Down によると、テネシー州ナッシュビルのライマン公会堂で収録されたThe Johnny Cash Showで、ジョニー・キャッシュはこの曲を初披露しました。広場をうろつく無職の路上生活者の映像を背景に、彼はこんなモノローグとともに曲を紹介しています。

“ご存じのように、浮浪者がみんな望んでそんな生き方をしてるわけじゃない。1930年代の大恐慌が、何千人もの農夫や街中の労働者を社会から葬り去った。俺の親父は、貨物列車に飛び乗って仕事を探し行く人たちの中の一人だった。親父は浮浪者じゃなかった。職を求めて渡り歩くホーボーだったが、浮浪者じゃなかった”

“俺は思うんだが……俺たちは皆、人生のどこかで『心の放浪者』だったことがあるんじゃないかとね。昔と同じように、今も路上にさまよい出ていく人間が大勢いる。職探しのためじゃなく、自己実現したいとか、自分の人生を理解したいとか、『生きる意味』を見つけたいという理由で。彼らはもう貨物列車に飛び乗ったりしない。そのかわりに、メイン州からメキシコへ向かうハイウェイで、車やトラックに親指を立ててヒッチハイクする”

“そして、そうやって放浪する者たちの多くは……俺も含めて、自分が心の平安なんて状態からほど遠いことに気づくんだ。ボロボロの秘密部屋にこもってた方がまだマシだと。ある孤独な日曜の朝なんかにはね。今時そんな状況はあらゆるところにあって、気持ちを沈ませるんだ”


腹の底からふつふつと湧き上がって、胸の内を黒く塗りつぶしていくような孤独感。この寂しさとうまく付き合えたら、生きていくことはもっと楽になるだろうに。そんな気持ちになることがあります。

過去を振り返って、取り返しのつかない過ち、二度と話せない人たちの顔、失ってしまったものを苦い後悔とともに思い出すとき。「おまえだけじゃないよ」と、昔なじみの友人のような顔で隣を並んで歩いてくれる、そんな曲です。


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プロフィール

Carrot

Author:Carrot
ジョニー・キャッシュを愛する洋楽ファン。自己流の訳詩、好きな音楽の話、日常の出来事を気ままに綴ります。
★当ブログに掲載している訳詞は、個人的な楽しみのための引用であり、商用利用や配布を目的としたものではありません。また、歌詞の和訳には誤訳・誤字が存在する場合があります。営利目的の転載および複製はご遠慮ください。個人的な楽しみの範囲であれば、ご自由に利用くださって構いません。その際は当ブログへのリンク及び引用元の表記をお願いいたします★

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