Tennessee Flat Top Box / Johnny Cash 訳詞・和訳

アコースティックギターを弾く少年
ジョニー・キャッシュTennessee Flat Top Boxを和訳つきでご紹介します。この曲は彼の娘ロザンヌ・キャッシュのバージョンでも広く知られています。


“彼はギターさえあれば いつもハッピーでいられた”


Tennessee Flat Top Box
テネシー・フラット・トップ・ボックス



とある小さなキャバレー
南テキサスの国境の町に
ギターを持った少年がいて
あちこちから人々が集まってきた
オースティンへやってきた女の子たちは皆
家をこっそり抜け出し
アクセサリーを質に入れた
旅費を稼ぐため 聴きに行くために
テネシー・フラットトップ・ボックスを弾く
小柄な黒髪の少年のために

彼のギターはこんな調子だった


彼は乗馬も家畜の世話もできない
金を稼ぐことにもまったく興味がない
でも彼のギターさえあれば
いつもハッピーでいられた
それは9歳から90歳までの女の子たちも同じ
指を鳴らし つま先でリズムをとり
「やめないで」と彼にせがんだ
催眠術にかけられ 心を奪われた
テネシー・フラットトップ・ボックスを弾く
小柄な黒髪の少年に

彼のギターはこんな調子だった


ある日 彼はいなくなった
近所で見かけた者はいなかった
そよ風のように消え失せて
小さな町の人々は彼を忘れた
でも女の子たちは皆 彼を夢に見つづけて
あのキャバレーにたむろしていた
閉店になるまでずっと
そしてある日 テレビの「ヒットパレード」に登場したのは
テネシー・フラットトップ・ボックスを弾く
小柄な黒髪の少年だった

彼のギターはこんな調子だった



Tennessee Flat Top Boxジョニー・キャッシュの作詞・作曲によるナンバーで、1961年にシングルリリースされました。全米シングルチャートのカントリー部門で11位と、そこそこのヒットになったこの曲。

ジョニー・キャッシュの淡々と余裕のある歌声で、キャバレーのギター弾きをしていた少年のサクセスストーリーが語られます。ある日ふっつり消えてしまった少年が、テレビの人気歌番組のゲストとして、皆の前に再び登場するラストにワクワクしてしまいます。

リズムギターのカッティングに、スネアドラムのブラシが重なって、チャカポコ、チャカポコと面白い響きになっていますよね。“And he would play”(彼はこんなふうに演奏した)という歌詞の後に、リードギターの印象的なフレーズが続くという展開も洒落ています。

それにしても、Tennessee Flat Top Boxって何だろうと気になりませんか? 英語版Wikipediaによると、これはスチール弦のアコースティックギターのことなんだそうです。flat topには「楽器の平らな表板」という意味があるので、ドブロとかじゃなく、ごく普通のアコースティックギターなんでしょうね。ジョニー・キャッシュ以外にこの言葉を使っている人がいないので、彼の造語だと思われます。


この曲は、ジョニー・キャッシュの娘であるロザンヌ・キャッシュによって、1987年にカバーされました。


ロザンヌ・キャッシュは、前妻ヴィヴィアン・リベルトとの間にもうけた四姉妹の長女です。ジョニー・キャッシュから音楽の才能を受け継いだ彼女は、父と同じミュージシャンの道を選びました。カントリーやポップスのヒット曲をいくつも持ち、1985年には女性カントリーボーカル部門でグラミー賞も受賞している実力派です。力強くて艶のある、いい声ですね。リズムが単調なのがちょっと物足りない気もしますが。

ロザンヌ版のTennessee Flat Top Boxは、全米カントリーチャートで、父のオリジナルバージョンの最高位(11位)を抜いて1位に輝きました。ロザンヌはレコーディング当時、この曲の作者が自分の父親だと知らず、とっくに著作権が消滅した昔の曲だと思っていたそうです。ほんまかいな。

そんな娘のカバーバージョンの大ヒットに、ジョニー・キャッシュは「人生の中で最高に満足したことの一つだ」と語ったそうです。ロザンヌたち前妻さんの四姉妹とは、ジューン・カーターとの再婚で色々と葛藤もあったでしょうからね。父親の死に際し、ロザンヌはテレビの追悼番組でこの曲を演奏しました。Tennessee Flat Top Boxは、ジョニーとロザンヌ父娘の絆を象徴するナンバーでもあります。


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Carrot

Author:Carrot
ジョニー・キャッシュを愛する洋楽ファン。自己流の訳詩、好きな音楽の話、日常の出来事を気ままに綴ります。
★当ブログに掲載している訳詞は、個人的な楽しみのための引用であり、商用利用や配布を目的としたものではありません。また、歌詞の和訳には誤訳・誤字が存在する場合があります。営利目的の転載および複製はご遠慮ください。個人的な楽しみの範囲であれば、ご自由に利用くださって構いません。その際は当ブログへのリンク及び引用元の表記をお願いいたします★

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