2017/08/13
Sunday Mornin' Comin' Down / Johnny Cash 訳詞・和訳

訳詞・和訳シリーズ第3弾、ジョニー・キャッシュの Sunday Mornin' Comin' Down です。
“日曜の中にある何かが 人を孤独にさせるんだ”
Sunday Mornin' Comin' Down
サンデー・モーニング・カミング・ダウン
目が覚めたら日曜の朝だった
どんな姿勢をとっても頭が痛む
朝食がわりに飲んだビールは悪くなかった
だからデザートにもう一本飲んだ
それからタンスを引っかき回して
汚れたシャツの中で一番ましなのを見つけた
顔を洗い 髪をとかして
よろめきながら階段を降りる一日の始まり
ゆうべ俺の頭の中は
タバコの煙とお気に入りの歌でいっぱいだった
きょう一本目に火をつけたら 子どもが目に入った
缶けりをして遊んでいる
通りを歩いて横切ろうとしたとき
日曜の匂いが漂ってきた 誰かがチキンを揚げている
神様 その香りが思い出させるんだ 俺が失った何かを
今までのどこかで どういうわけか なくしてしまったものを
(Chorus)
日曜の朝の歩道にいると
神様 俺はマリファナでもやっていれば良かったと思う
日曜の中にある何かが 人を孤独にさせるんだ
今まさに死んでいくような気分
死ぬときだって寂しさは半分ぐらいだろう
眠たげな街の歩道から聞こえる物音に比べたら
そして 日曜の朝に沈んでいく
公園でひとりの父親を見かけた
彼がブランコを押してやって 小さな女の子が笑っていた
教会の日曜学校のそばで足を止めて
彼らのうたう賛美歌を聞いた
それから俺は通りを歩いていった
どこか遠くで 寂しげな音色の鐘が鳴っている
それはビルの谷間に響き渡る
まるで薄れゆく昨日の夢のように
(Chorus)
日曜の朝の歩道にいると
神様 俺はマリファナでもやっていれば良かったと思う
日曜の中にある何かが 人を孤独にさせるんだ
今まさに死んでいくような気分
死ぬときだって寂しさは半分ぐらいだろう
眠たげな街の歩道から聞こえる物音に比べたら
そして 日曜の朝に沈んでいく
私がこの曲を初めて聴いたのは、子どもの頃、刑事コロンボシリーズの「白鳥の歌」の中でした。ジョニー・キャッシュがカントリー歌手の殺人犯を演じた、このテレビ映画については、また別記事でご紹介したいと思います。
Sunday Mornin' Comin' Downは、カントリー歌手のクリス・クリストファーソンによって作詞・作曲されました。1969年にレイ・スティーブンス版、1970年にジョニー・キャッシュ版が発売され、ジョニー・キャッシュのバージョンは、全米シングルチャートのカントリー部門で1位になっています。ジャニス・ジョプリンのヒット曲「Me and Bobby McGee」を書いたことでも知られるクリス・クリストファーソンは、ジョニー・キャッシュが持っていたヘリコプターの操縦者として彼と知合い、デモテープを渡したことが、シンガーソングライターとしてブレイクする切っ掛けとなったそうです。
英語版Wikipediaの Sunday Mornin' Comin' Down によると、テネシー州ナッシュビルのライマン公会堂で収録されたThe Johnny Cash Showで、ジョニー・キャッシュはこの曲を初披露しました。広場をうろつく無職の路上生活者の映像を背景に、彼はこんなモノローグとともに曲を紹介しています。
“ご存じのように、浮浪者がみんな望んでそんな生き方をしてるわけじゃない。1930年代の大恐慌が、何千人もの農夫や街中の労働者を社会から葬り去った。俺の親父は、貨物列車に飛び乗って仕事を探し行く人たちの中の一人だった。親父は浮浪者じゃなかった。職を求めて渡り歩くホーボーだったが、浮浪者じゃなかった”
“俺は思うんだが……俺たちは皆、人生のどこかで『心の放浪者』だったことがあるんじゃないかとね。昔と同じように、今も路上にさまよい出ていく人間が大勢いる。職探しのためじゃなく、自己実現したいとか、自分の人生を理解したいとか、『生きる意味』を見つけたいという理由で。彼らはもう貨物列車に飛び乗ったりしない。そのかわりに、メイン州からメキシコへ向かうハイウェイで、車やトラックに親指を立ててヒッチハイクする”
“そして、そうやって放浪する者たちの多くは……俺も含めて、自分が心の平安なんて状態からほど遠いことに気づくんだ。ボロボロの秘密部屋にこもってた方がまだマシだと。ある孤独な日曜の朝なんかにはね。今時そんな状況はあらゆるところにあって、気持ちを沈ませるんだ”
腹の底からふつふつと湧き上がって、胸の内を黒く塗りつぶしていくような孤独感。この寂しさとうまく付き合えたら、生きていくことはもっと楽になるだろうに。そんな気持ちになることがあります。
過去を振り返って、取り返しのつかない過ち、二度と話せない人たちの顔、失ってしまったものを苦い後悔とともに思い出すとき。「おまえだけじゃないよ」と、昔なじみの友人のような顔で隣を並んで歩いてくれる、そんな曲です。


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